注文住宅を購入する際、最終的に選ぶかどうかはさておいて、一度は大手のハウスメーカーが検討にあがることでしょう。
住宅展示場へ行っても大手ハウスメーカーのモデルハウスが建っていることが多いですし、ネットで評判や家の造りなどを調べようとしたときに情報も得やすいことから、とりあえず大手ハウスメーカーから入る方も多いと思います。
今回はそんな大手ハウスメーカーを選ぶ理由について考えます。
大手ハウスメーカーのシェア
住宅業界は自動車業界や家電業界とは違って、大手メーカーによる寡占状態ではないことが特徴です。
以下グラフは各業界における大手メーカーのシェアの割合です。

このグラフからも分かるように、住宅業界で大手ハウスメーカーのシェアは約2割程度しかありません。
自動車業界や家電業界と比較しても、大手メーカーの占める割合がかなり少ないことが分かります。
なんとなくのイメージだけだと、大手ハウスメーカーはTVCMも多く打っていて、住宅展示場での展示も多く、販売数も多いような気がしますが、実際は全体の2割くらいしか占めていないのです。
施工会社を選ぶ基準
基本的に一戸建てを建てるときには、建築基準法に基づいて設計・施工され、完成検査を受け、建築確認という手続きをしなければなりません。
この流れを踏むことで、建築基準法に従っている建物であれば、どの会社で建てても一定の品質は担保されています。
つまり注文住宅における施工会社選びは、一定品質を超えるところに何を求めるかという施主の価値観の問題であり、そのプラスαを実現してくれる会社はどこかという選択をすることです。
そして、数多ある施工会社の中で大手ハウスメーカーを選ぶ理由は様々でしょうが、「ブランド」「安心感」を求めるという一面もあると思います。
大手ハウスメーカーと言われる会社が、消費者に対しどんな価値を提供しているかと言えば、「ブランド」と「安心感」です。
TVCMや住宅展示場で大々的に宣伝し、誰でも知っているような会社であればそのブランド力は絶大です。
またそのブランドを維持し続けるために常に最新技術を取り入れ、品質の向上に努めていますので、おおよそ満足度の高い家づくりができます。
その一方で、ハウスメーカーは広告宣伝や技術開発に莫大な投資をしており、その費用が支払い額にのってくるため総じて価格は高めになりがちです。
その高い価格を「ブランド」と「安心感」を買うためと割り切れる方にとってはよい選択肢となるでしょう。
また、ハウスメーカーの家は高度に規格化された工業製品ですから、品質がよい反面、融通がききません。
細部に渡ってのオーダーメイドは出来ませんし、ちょっとした仕様変更にも費用がかかることが多いので、基本的に「標準仕様+オプション」の範囲内で建てる家と考えましょう。
大和ハウスの不祥事
今年の4月に、防火基準を満たしていない不適切な物件が2000棟超があると公表した大和ハウスが再調査をしたところ、国から認定されていない基礎を使った不適切住宅が新たに約1900棟も見つかったと公表しました。
要は、建築基準法を満たしていない不適合住宅を4000棟も建てた、ということです。
上でも述べたとおり、建築基準法に違反している会社は論外です。
大和ハウスのやったことは、大手ハウスメーカーの「安心感」を盲目的に信じていた消費者からの信頼を裏切った最低の行為です。
ネットで大和ハウスの評判を調べると、他のハウスメーカーに比して悪評が多い気は以前からしていました。
『着工棟数も多いし、たまたま自分が調べた範囲で目に付いただけだったのかも』と思っていましたが、こんな不祥事が立て続けに出てくるのをみると、あながち間違っていないんだなと感じます。
売上高もトップであり、大手ハウスメーカーの中でも旗手とも言える大和ハウスがこんなことをしているようでは、住宅業界全体とって悪影響でしかありません。
「あんな最大手がやってるんだから、他のところもそうなのかな」という目で見る人がいても何らおかしくない話です。
大和ハウスが不適合住宅の持ち主に対して、真摯に対応し適切な保障をするのは、業界のリーディングカンパニーとして最低限やるべきことですし、再発防止の仕組みを社内外から固める必要があると思っています。
まとめ
大手ハウスメーカーを選ぶ理由として、「ブランド」や「安心感」が理由の一つとして存在することは否めません。
私も大手ハウスメーカーの安心感を信じている部分はあります。
しかし、それを裏切ってくる会社があったというのも事実です。
我々消費者は、住宅が建築基準法を満たしているかを細部まで調べることはなかなか難しいです。
それでも、自分なりに何か基準を持って施工会社の選択をしていくことが大事なことなんだと思います。